2012年12月31日月曜日

カモメ館、ありがとうございました。良いお年を!

こんにちは。年の瀬ですね。あと1時間で年明け。

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

先日12/21(金)をもって、カモメ館の展示は無事終了いたしました。

公式では12/22までのアートピクニックも、昨日12/30の045館@LAUNCHPAD展示終了により、
全ての展示企画が終了となりました。

ご参加くださった作家様各位、イベントに来てくださった皆様、運営メンバの皆さまには、
心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

そして、イベントととも2012年も終わりを迎えますね。

最後にと言ってはなんですが、カモメ館の振り返りをしてみたいと思います。
ご参加いただいたみなさま一人一人に感謝を込めて。

港の灯りとカモメ館:



 イベントの7つの会場内で一番、ギャラリーらしいギャラリーでした。
本当に、作品を見るために来てくれるお客様がメインの会場です。
カモメ館のネーミングは、一番「元町・中華街アートピクニック2012」らしいものにしたくて、
浅葱ヨウコさんとこぼりで考えました。
”カモメ館”と皆さんが親しみを込めて呼んでくれていたのがとてもよかったと思います。良いネーミングとなりましたね!

 また、 作家9人という一番の大所帯での展示でしたが、

豪華客船をイメージした、「港」ルーム(シャンデリアと豪華な作品)
街明りをイメージした、「灯り」ルーム(夜にはこじろーさんのライトで更に雰囲気抜群!)
その名のとおりカモメ飛ぶ、「カモメ」ルーム(浅葱ヨウコさんありがとう!)

と分けたことと、皆さんの作品それぞれに、”日本や、身近なものを想う”といったコンセプトが織り交ぜられていたことで、カモメ館展示としてきちんとまとまったのではないかと思います。
ただ、そのコンセプティブなところのアピールが足りなかったこと、申し訳なかったと感じています。
展示や館のコンセプト等を伝えることは、来てくださる方が更にアート展示を楽しめる情報として、とても重要な要素だということを実感したイベントとなりました。



来客数は換算できませんでしたが・・・缶バッチのパーツがなくなっていたのと、土日で、200人くらいかなぁ。

オープニングパーティは作家さん方が20人くらい集まり、ワークショップのような会ができて、とても有意義な場とすることができました。

ライブペイントも、当日その場でどんな作品ができるかわからない、ある意味実験のようなプログラムでしたが、マリンタワーを軸とした、画用紙に筆を入れた一人一人のパワーの溢れる、素晴らしい作品になりました!IPさん、Mebiusさんありがとうございました!

ワークショップについても、皆でテーブルを囲んで話ながら、自分の手でアートを体験するというのが良かったです。皆にプラスを持ち帰ってもらえる、FLEXのコンセプトにもぴったりのプログラムでした。
こじろーさん、宮崎美絵さんありがとうございました!

 

パーティ、ライペ、WSについては、こちらの記事に詳しく書いていますので参照ください。
 http://minatoakari-kamome.blogspot.jp/2012/12/1221.html


さて、ここからは各作家さんの作品について。
とても恐縮ではありますが、書かせていただきます。

IPさん: ”Mr.DJ”
 震災時、日本に駆けつけて、非営利のパフォーマンスにより、被災地及び日本の人々へ音楽を届けたひとりのDJの記憶について描いた、3点の絵画を展示いただきました。
 忘れてはならない記憶が今一度、心の中に蘇るとともに、IPさん自身の体験した震災の記憶について感じることができる作品でした。
 またIPさんは、マリンタワーにも大きな垂れ幕の大作を展示いただきました!私も搬出時に気付いたのですが、実は画面右側に描かれている高層ビル群がコラージュになっていたのです。もっと近くで見たかったー!ので、いつかまたどこかに展示してほしいです。





アクツリエさん:
 自身の故郷である、沖縄の写真を、ことばと、そして音と共に私たちに届けてくれる作品群でした。
 特におじいの写真と対面しながら、おじいの声を聞く、というのがとても印象的でした。
アクツさんの、故郷、そしておじいに対するあたたかい気持ちが伝わるものでした。
 バスルームもカンナくずを使った展示、ありがとうございました!強い風が吹き、草木の香りがするようで、胸がざわざわとしてしまいました。浅葱さんとのコラボもばっちりでしたね!

 また、沖縄の桜の写真は、マリンタワーにA2サイズに伸ばして展示してくださいました。ピンクと赤の間の絶妙な色合いもあり、惹きつけられました!







浅葱ヨウコさん:
 「壁でない場所を使った展示」がしたいということで、カモメ館の名前にぴったりの"カモメ"を、カモメ部屋に飛ばしていただきました!
白い部屋の壁や、すりガラスの窓に写るカモメのシルエットがとても美しく、また繊細な印象を与えてくれ、とても素晴らしいインスタレーションになっていました。
キャプションの素材明記のところに、こっそり"愛"と書かれていたのには、やられた!と思いましたが、みなさん気付かれましたか?(笑)
 バスルームにもアクツさんとコラボでカモメを展示いただき、また12/22,23にはマリンタワーにもカモメを連れて行ってくれました。やはり影がよい。浅葱さん、さすがです!ありがとうございました!




川久保ジョイさん:
 "The Waterfront #10"
 異なる時間の流れをもつ、陸地と海の境界線となる場所、ウォーターフロントを被写体としたシリーズを展示していただきました。
 しかも2012年の作品!かつ日本で写した作品を選んでいただきました。

 実際にジョイさんの作品を眼の前にしたのは初めてなのですが、人間の眼では見ることのできない、多次元的で幻想的な風景をあたかも一瞬の風景かのように映し出している、という印象を受けました。 大変存在感のある写真であることに加え、更に大きい作品ということもあり、ジョイさんとともに撮影時のその場にいるような感覚になれそうです。カメラって、時間も空間も凌駕してしまうのかーと若干SF的な感覚になります。

 素晴らしい作品を展示いただき、本当に ありがとうございました。





"The price we pay"
 こちらは1円を拾うという動作の価値を年給換算までして考えてみたら、意外にも価値のある行為なのではないか。というコンセプトのパフォーマンスを、来場者とともに行ったインスタレーション作品でした。日常にある何気ないしぐさ・動作について考えるきっかけとなる作品でした。

 また、パフォーマンス中に来場者に話しかけ、アートについて皆で考えてみるといった対話形式なのも、とても面白かったです。
 ジョイさんの作品の新たな一面に立ち会えたことは、とても良い経験となりました!ありがとうございました!!






こじろーさん:
"港町"
今回の展示のため、特別大きな切り絵を新作として作成いただきました!
最細で0.3mmという繊細な技術をもったこじろーさんの作品は繊細なイメージが強かったのですが、赤レンガ倉庫を彫り出した、切り絵のサイズの大きさに圧倒されました。
そしてなんとアートピクニックの文字も入れていただいて…ありがとうございました!

また、棚に置いた、小さくて繊細なライト作品との対比もできる展示となっていました。
こんなことまで出来るのかぁと、ため息をつく方も多かったのではないかと思います。

展示期間中は、浅葱さんのカモメちゃんもそうですが、雨の日の湿気が大敵でしたね。
作品制作や展示において、天候も重要な要素だと判りました。うーん、難しい!


更にこじろーさんには、ワークショップも開催いただき、たくさんの方に切り絵を楽しんでいただくことができました!難易度に合わせた切り絵のデザインをその場で書いていただけたのも、良かったです。
ありがとうございました!



KOBORI KANAE:
"lights and projections"
 今回の作品は、灯りルームにちなみ、あかり(light)と、その投影(projection)から連想した、作品を選んでみました。またそれらは、故郷(日本)や、身近にあるものを想うような作品たちとなっています。

 こぼりの作品は、額装した写真とことばですが、旅で出逢った素晴らしい景色と共に、その瞬間・空間を伝えたいという大枠のコンセプトがあって、この形になっています。
写真をみて、更にことばを読むことで、もっとその景色の中に、更にはその場にあった感動・感情の中に入り込んで、体験してもらえたら良いなと想っています。
平面作品から、見た人自身のバーチャルな空間を作り出してもらうことを期待しているのかもしれないです。

 


 ちなみに、こぼりはいつも自分の作品について説明するのが苦手です。。
オープニングパーティのUStream中継で、みなさんの作品はどれも素晴らしいので、解説するのが好きなのですが、「自分の作品の時にはきちんと解説できなかったのがもったいない」との指摘をいただきました。
もっと客観的に自分の作品を解説できるようにならなくては!と反省した展示でした。



深谷祐里さん:
"Welcome to the funtastic world"
 ひとりの人間の中にある、天使と悪魔をテーマにした、写真と、ことばの作品です。
刺激的でもあり、優しくもある詞は写真の回転遊具のイメージと共に読み手を振り回しながら、その人自身の天使と悪魔を意識させるようなものでした。

 写真を囲むように配置された詞たちは、革に文字を焼き付けたものを使用していました。
革は触って良く、誰かが触るたびに、味が出てくるとのことでした!
今回は一週間だけだったので、十分に味が出るくらいになったものを見てみたいですね。






宮崎美絵さん :
"新しい日々へ"
 と題したシュガークラフト作品は、希望にあふれた華やかな色と、花々、羽ばたく蝶のモチーフでできていました。ところどころ、梅やさくらを意識した花弁をもった花があしらわれていました。
お砂糖でできた作品からは良い香りがして、鼻を近づけてくんくんとしながら観賞している方もたくさんいらっしゃいました。

 また、ワークショップではアイシングクッキー教室をしていただき、気軽にシュガークラフトを楽しむことができました。
初めてシュガークラフト作品を見る方に、美絵さんのような素晴らしい作品も、クッキーと同じように、身近なものになればよいなという想いが伝わるような気がして、とても意義のあるプログラムだったのではないかと思いました。ありがとうございました!

 12/15からはマリンタワーにも、たまご型のシュガークラフトを展示していただきました。
こちらも、お砂糖とは思えないほどのボリューム感と、予想していなかった珍しい展示方法で、興味を惹くものでした。シュガークラフトって、面白いですね!





 

Mebiusさん:
 今回は、「新しい挑戦として、大判のセル画に、一発書き」をした作品を展示していただきました!Mebiusさんらしい、流れるような、踊るようなラインはそのままに。
透明なセルロイドシートをとおして、白い壁にイラストが写っていたのも幻想的でしたね。
 桜を想わせる作品も、華やかで惹き立っていて、透明シートの作品と対比されて面白かったと思いました。

 Mebiusさんも、IPさんと同様に、マリンタワー吹き抜けの、2階手すり部分に作品を展示いただきました。
そちらの2作品も、マリンタワーや錨のシンボルが描かれた、横浜市民にとっては嬉しい作品になっています。これも、もっと近くで観賞したかったですね。また展示いただく機会があったらぜひまた多くの方に見てほしいと思います。







というわけで、長々としかも偉そうに書いてしまいましたが、

このブログによって、カモメ館の作品を見た方に、より作品が印象づけば良いなと想っています。

あくまでもこぼりの眼で見た作品解説なので、ご指摘などあればぜひお願いします。




最後に

年末にかけてお忙しい中、皆様それぞれ、色々なことに挑戦してくださって、
"港の灯りとカモメ館"は大変表現方法の豊かな展示になりました!

カモメ館は、それぞれがアートについて学んだり、研究する、小さな美術館みたいだなと前にブログに描いたのですが、本当にそのとうりになったなーと嬉しく思っています。
それもこれも、みなさんの技術と創造力で実現できました。
 
カモメ館でみなさんとご一緒できたことは、私にとって、大きな刺激とパワーになりました。
今この文章を書いている、感動や情熱の入り混じった感覚は、前進のエネルギーとなるはずです。
この感覚は、来年まで、絶対に持っていこうと思っています。




「元町・中華街アートピクニック2012」及び「港の灯りとカモメ館」、
本当に、皆さまありがとうございました。
そして、おつかれさまでした。




また来年も、よろしくお願いいたします。






2012.12.31  KOBORI KANAE